子どもが不登校になったときにまず読んでほしい

こんにちは、対人関係療法を専門にカウンセリングを行っています、島崎です。

文部科学省(2018)の調査によると、平成24年から右肩上がりに増えている「不登校」。

今回のコラムでは、“学校に行かない”という道を選んだ子どもへの関わり方について書きたいと思います。

子どもが不登校になったときに考えてほしいこと

目次

1.子どもは何も変わっていないことを受け入れる

2.親になった日に思い描いた“親像”を思い出す

3.居心地の良い場所を作る

4.一貫性のある関わりを心掛ける

5. 1人で悩まない

1.子どもは何も変わっていないことを受け入れる

私たちは、予想外の出来事が起きると受け入れるまである一定の時間を要します。

受け入れるまでのプロセス

「まさか、うちの子が不登校になるなんて」<受け入れられない>

「どうして学校に行かないの?」<怒りがこみ上げる>

「なんでもいいからとりあえず明日学校にいってほしい」<神にも祈る>

「何を考えているのか分からない。親としてどう関わればいいのか分からない」<落ち込む>

「今できることをしよう」<受け入れ態勢が整いはじめる>

人はこのプロセスを行ったり来たりしながら、少しずつ前に進みます。このプロセスは人によって進む速度が異なります。もちろん、このプロセスは子どもにもあり、親と子どもの受け入れる速度は違います。

大切なことは、親も子も状況を受け入れるためには心の準備が必要だということです。

子どもが戸惑っている時に、大人が怒りを表出すると、子どもは自身の気持ちに気づいたときに言いにくくなります。

子どもが“不登校”になった時、親は戸惑う余り「子どもがおかしくなった」「できの悪い子ども」など、評価を下すことがあります。

しかし、子どもは“学校を行かない選択肢をとった”こと以外は何も変わりません。

“不登校”という1つの視点に囚われて、子どもの“変わらない部分”が見えなくなるのは、本末転倒です。

学校へ行っていた時も今も子どもの本質は何も変わらないことを頭にとめてください。

2.親になった日に思い描いた“親像”を思い出す

私たちは、人生をより良くするために生きています。もちろん今も。しかし私たちは、毎日を必死に生きるあまり、「はじまりの日」を忘れてしまいがちです。

あなたが“親”になった時、どんな“親像”を描いていましたか?

今の自分とどれくらい一致していますか?

“親”は、“子ども”がいないとなれません。親が子どもを産み育て、その過程の中で子どもが親にしてくれるのです。

“どんな親になりたいと思っていたか”思い出してみる良いチャンスかもしれません。

今、全然一致しなくても思い出せたことが大切です。

3.居心地の良い場所を作る

文部科学省(2018)の調査によると、不登校の要因で1番多いのは『「不安」の傾向がある』であり、この数値は、『「学校における人間関係」に課題を抱えている』項目の回答を上回っていました。

一見、学校で困っていることがないのであれば、学校へ行けばいいのにと思いがちです。しかし、筆者はこの数値を見た時に、不安傾向がある子どもが“不登校”を選ぶことがどれだけ大きな決断だったかと考えさせられました。

学校へ行ったほうがいいこと、勉強が遅れること、集団生活の大切さは、他人でも教えることができます。親ができることは、子どもがどんな時でも安心できる場所を作ること、それに尽きるのかもしれません。

4.一貫性のある関わりを心掛ける

子どもが“不登校”になると、親は“学校へ行くこと”を1番のゴールとし、「学校へ行ってくれるなら」と様々な子どものお願い(「学校へ行ったら○○を買って」「学校へ行ったら△△へ連れて行って」等)を交換条件として叶えることがあります。

しかし、“学校へ行くこと”はゴールではありません。1回学校へ行くたびに交換条件を与えていると、子どもは条件を叶えるためだけに学校へ行きます。そして、この交換条件は日に日にエスカレートし、当たり前ですが叶えられないと行かなくなるでしょう。

学校の登校と引き換えではなく、今まで通り家のルールでお願いは叶えてください。子どもが“不登校”になったことで、家のルールを変える必要はありません。

(*もちろん、子どもにとって酷な条件が家のルールになっていないことが条件です)

また、安心できる空間の条件として、親の気分で意見を変えないが挙げられます。

親も人間なので、意見が変わることはあります。しかし、そこに一貫性がないと子どもはどの言葉が親の本心か分からず、意見を言うことに消極的になります。

「学校に行きなさい」と言ったり、「学校へ行かなくていい」と言ったり、意見が変わると子どもは戸惑います。親の気持ちが定まっていない間はどちらにも返答しないこと、どちらがいいのか悩んでいることを言葉で子どもに伝えることをお薦めします。

もう1つ例を挙げます。

Aさんは「話し合える家族」を目標とし、子どもに「いつでも話しかけて」と伝えていました。そうすると、子どもはAさんが忙しいタイミングでばかり声をかけるようになりました。Aさんははじめ、なんとかして話を聞いていましたが、ある朝限界を迎え「なんで、こんな忙しい時に話しかけてくるの?」と嫌な顔で返答しました。

この後、子どもはAさんに話しかけることはなくなりました。

一貫した態度というのは、子どもに全てのペースを合わせることではありません。

それでは、Aさんはどうすればよかったのでしょうか。

答えは簡単です。Aさんは、「いつでも話をしたいと思っている」ことを伝えながらタイミングを相談すればよかったのです。

例えば「声をかけてくれて本当に嬉しいし、今すぐにでも話を聞きたいけど、今は忙しくてじっくり聞けないから帰ってきてからでもいい?」等。それでも、子どもが「どうしても今」と言うなら、どうしても今がいいのでしょう。

子どもが声をかけてきたタイミングではない時に、いつならゆっくり話せるか伝えてみてもいいかもしれません。

5.1人で悩まない

子どもが“不登校”になったことを誰にも言えずにいる方。

なんとなくママ友と会いづらくなった方。

子どもが何も変わらないことと同じように、親も何も変わりません。

しかし、ご近所付き合い、ママ友付き合いが億劫になる方。

まずは、学校に相談し、ご希望であればスクールカウンセラーに相談してみてください。

学校へ言いづらい場合は、各都道府県、市区町村に不登校の相談窓口が設置されています。

当カウンセリングルームでも、相談をお受けすることができます。

家族で抱え込まず、相談してみてくださいね。

文部科学省 2018 平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1410392.htm