今さら聞けないカウンセリング事情

アメリカのドラマにはまっている友人が、臨床心理士の筆者に質問してきた、とある疑問。

アメリカって何か心配なことがあると何でもカウンセラーに相談しに行っているイメージだけど…日本ってどうなの?

確かに。アメリカでは心理カウンセラーに相談するって身近なことのように思います。

一方で、日本のカウンセリングへのイメージは…

近年、ハードルが少しずつ下がってはきているものの、それでも海外に比べると敷居が高いような気がします。

思い返してみると、クライエントの方(相談者)からも

「こんなことで相談してごめんなさい」

「カウンセリングにまで来て話すことじゃないとは思うんだけど…」

という声をよく聞きます。

この言葉から筆者は

『何か大きな悩みがないとカウンセリングって受けないイメージなのかな?』

『精神的な病気になった人がカウンセリングを受けるイメージがあるのかな?』

と思ったりします。

 

では、みなさんは困ったときや悩んだとき、どうしていますか?

「仕事上のストレス」に関するアンケート調査(アデコ株式会社, 2016)によると、ストレスの発散方法として、以下のような結果が報告されました。

・好きなものを食べる・お酒を飲む(40.0%)

 

・睡眠などの休息をとる(39.1%)

 

・運動・体を動かす(32.2%)

 

・趣味に没頭する(31.9%)

 

・1人になる時間を作る(25.0%)

 

その時の悩みの質や気分で色々な対応がありますよね。

 

ちなみに…誰かに話すという結果は6位でした…

 

他者に話すよりも自分の力でなんとかしようというのは日本人の文化なのかなと思ってしまう結果でした。

 

いつか、このストレス発散方法、上位5位の中に「誰かに相談する、話す」という結果がでますように…そして、身近な人にはなかなか言えない人も、まずは自身のことを話す練習をカウンセリングの中でおこなっていくというのも1つの方法だと思います。

 

 

ちなみに…カウンセリングとは、そこにいけば受動的に悩みが解決されるものではなく、カウンセラーと話す時間を通してご自身で答えを見つけていく場所です。

(実は、筆者は臨床心理士になろうと思った時、カウンセラーは全ての答えをもっている人だと勘違いしていました… でも、実際違っていました。)

 

なぜなら、あなたの専門家はあなた自身だからです。

 

じゃあ、なんのためにカウンセリングに行くの?

と思われるかもしれませんが、

カウンセラーの仕事は

・クライエントと一緒にお話しを整理させていただくこと

・場合によっては、今起きていることを心理学的、医学的に説明させていただくこと

 

さきほど、日本のカウンセリングは、精神科に通っている人が受けるものというイメージがあるのかなと記入しましたが、その答えは半分あっていて、半分違います

もちろん、精神科に通院中の方もカウンセリングしていますし、通っていない方もこられています。

 

カウンセリングには、病気であっても病気でなくても関係なく通うことができます。

その中で筆者が1つ確信をもって言えることは、今まで筆者がお話を聞かせていただいた悩みの中で、無駄な悩みやちっぽけな悩みは1つもなかったということです。

 

日本人がカウンセリングを身近に感じられない要因の1つとして考えられるのは、

日本の中で根付いている カウンセリングに通う人は弱い というイメージ。

頑張り屋であればあるほどに、他者に相談することは『弱い』『自分はいたらない』と思っている人は多くいるそうです。しかし、私が今までカウンセリングしてきた人は自分と向き合おうとする人ばかりで、弱いという印象を感じたことはありません。

そう考えていくと、そもそも人に相談することは弱いことだという考え自体が視野を狭め、自分を苦しめている可能性があるのではないかと思ってしまいます。

 

なによりも私は、人は人によって癒されると信じています。

 

今抱える悩みや不安を1人で抱え込まず一緒に考えてゆけたらと思います。

 

カウンセリングが、カフェやマッサージに行くような気持ちで通える場所になることを願っています。

 

参考資料

「仕事上のストレス」に関するアンケート調査 2016 アデコ株式会社 http://www.adecco.co.jp/about/pressroom/investigation/2016/0216/