先日、2023年の合計特殊出生率(1人の女性が産む子どもの数の指標となる出生率)が発表されました。前年度に比べ0.06ポイント低下し、統計を取り始めて以降最も低い「1.20」という数値となりました。現在の人口を維持していくためには、「約2(2.07前後)」は必要といわれています。
そんな現代に生まれてきてくれた赤ちゃん、そして子育てに奔走するお母さん、お父さん。
縁あって親子になり、子どもの自立に向けて共に過ごす日々。
永遠に続くと思われるその時間は、実は案外短いものです。
後から振り返った時に「あの時はいろいろ大変だったけど、楽しかったな!」と笑顔になれる思い出を重ねながら、楽しく子育てをしたいですよね。
そこで今回は、親も子もゆるやかに過ごすための「伸びやかな子育て(乳児期)」について、お話をしようと思います。
1. 赤ちゃんってすごい
2. 子育てと仕事の違い
3. 親子の伸びやかな時間を大切に
1.赤ちゃんってすごい
① 赤ちゃんはかわいい
動物行動学者のローレンツは、赤ちゃんには見た目の特徴があること(体に対する頭の大きさの割合が大きい、大きな額、目が大きく丸くて顔の中の低い位置にある、鼻と口が小さく頬がふくらんでいる、体がふっくらして手足が短く丸みを帯びているなど)を明らかにしました。お世話をしてもらわないと生きていくことが出来ない未熟な赤ちゃんが持つ「生き抜くためのビジュアル」なのですね。
② 人が大好き
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ視力がハッキリしていません。お腹から出てきてすぐに何でも見えてしまうと、刺激が強すぎるのですね。そんな新生児は、生まれながらに「人の顔を好む」傾向があり、ぼんやりした視界の焦点が合う距離は「お母さんに抱かれてお乳を飲むときの距離(20~30㎝程度)」ともいわれています。
また、人からの刺激にとても敏感で、大人からのやさしい声掛けによく反応をします。
自分では善悪の判断がつかないことは、大人の顔色や声色を見て判断します。
体全体で人や物を感じようとする赤ちゃんの姿は、知的好奇心そのものですね。
③私(僕)を見て!
意味のある言葉(初語)が出るのは、1歳前後(個人差あり)です。それまでの間、自分に出来得るありとあらゆる方法で「ねえ!こっちを見て!ここに来て!」とアピールします。泣くという行為は1つであっても、お腹が空いた時、眠い時、おむつが汚れた時などの状況に応じて泣き声を変化させる様子は、「私のことわかって!」という赤ちゃんからのサインです。サインに応えてもらうことによって、「わかってくれてありがとう!あなたのこと大好き!」という気持ちが生まれます。これを「愛着(アタッチメント)」といいます。
2.子育てと仕事の違い
現代社会は、何事にも効率化が求められる時代です。特に仕事では、時間を有効に使い、スムーズに物事を進めることが評価基準になっています。それに対して「子育て」は、とても効率が悪く、評価がすぐに出るものでもありません。
能力が高くとてもかわいらしい赤ちゃんですが、仕事のクライアントに例えるとしたら、「何を考えているかわからない難易度が高い相手」。言葉でのコミュニケーションは出来ない、すぐ泣く、自分で自分のことが解決できない(サポートが必須)、気分屋で予定変更を余儀なくされる、等々、難しさだらけです。
「子育て」は、時間をかけて試行錯誤を繰り返しながら進める、先が読めない超難関の大型プロジェクト。
だからこそ、「赤ちゃんをうまくコントロールすること」ではなく、「一人ひとり違う赤ちゃんを丁寧に知ろうとすること」に視点を向けると、効果的なかかわり方が見えてくるはずです。観察すること、共に過ごすことの中にヒントがたくさんあって、結果的にスムーズな子育てにつながっていくのですね。
3.親子の伸びやかな時間を大切に
人生で出会う人の中で、赤ちゃんほど、思うとおりに動かない相手はいないのではないでしょうか。そんな彼らと過ごす時間は、「新しい発見だらけ」です。
今まで気づけなかったこと、知らずに素通りしていたことにたくさん気付かせてくれます。
以前、保護者向けセミナーに参加して下さった育児休暇中の保護者の方が、こんなことをおっしゃいました。
「子どもを育てるまで、いつも通っている道にこんな花が咲いていたのかとか、毎日空がこんなに違うのかとか、そういうことに気づきもしませんでした。育児休暇中はそういう時間を大切にしたいと思います。」
人や物に興味をもって、さまざまな環境に積極的に関わる赤ちゃんを通して、大人が教わることはとても多くあります。
彼らとのかかわりは、人生を豊かにしてくれます。
のんびり、ゆったり。
忙しい日々の時間の中で、なかなか難しいことかもしれません。
でも、「視点」を少し変えるだけで、気持ちが楽になることがあるかもしれません。
「子育て」は難しい。だからこそ、「楽しまないともったいない」ですよね。
次回は「乳児期」のもう少し先にある「幼児期」についてお話しようと思います。