ドゥーラサポートの活用例~みんなはどうやって利用しているの?~

こんにちは。産後ドゥーラ兼公認心理師として家庭訪問型産前産後サポートを行っている後藤さよこです。

今回はドゥーラサポートを産後や妊娠期にどのように利用されているのか、様々なケースをご紹介いたします。

目次

1.サポート内容はどのように決めているのか?

2.Aさん:初産婦・退院翌日~産後6ヶ月まで利用

3.Bさん:経産婦・妊娠初期および産後3ヶ月まで利用

4.Cさん:初産婦・産後4ヵ月~1歳まで利用

1.サポート内容はどのように決めているのか?

「産後はサポートをお願いしたいと思っているけれど、何を頼んでよいのかわからない」

「みんなはどういう風にドゥーラサポートを利用しているのか知りたい」

というお声をよく聞きます。

私たち産後ドゥーラは、サポートを始める前にまずプランニングをさせていただき、皆様のご要望をお伺いします。

そしてお一人お一人のご要望やご家庭の状況、ご利用時期に応じて、その方にとって最善のサポート内容をご提案させていただいております。

産後(あるいは現在)どのようなことをご不安に思われているのか、

どのようなことで困っているのか、

まず遠慮なくお話しください。そして一緒に必要なサポート内容を考えていけたらと思っております。

サポート内容はお一人お一人のご要望に応じて異なりますが、参考までに3人の利用ケースをご紹介いたします。

※3人は架空の人物であり、実際にあった複数のケースを組み合わせたサポート例です。

2.Aさん:初産婦・退院翌日~産後6ヶ月まで利用

<背景>

Aさんの両親は遠方に住んでおり、祖父の介護中のため、里帰りや実母の援助を得ることは難しい状況です。そのため、自宅に退院した翌日からすぐドゥーラサポートを利用できるように、妊娠期に産後プランニングを行いました。

Aさんは初めての育児のため、産後生活がどのように変化するのか、何を頼めばよいのかイメージが湧きません。

産後プランニングでは、Aさんの夫が担当できる家事を確認した上で、産後ドゥーラが担うサポート内容を決めていきました。

夫の仕事は土日休みで、毎週末家の掃除をするのは夫の担当になっているそうです。しかし平日は毎日帰宅が夜遅くになり、家事や赤ちゃんの沐浴などを行うことはできない現状です。

<サポート内容>

〇料理

:朝食は夫が準備できるが、夕食の調理はできない現状です。

そのため産後ドゥーラはAさんの昼食と夫婦二人分の夕食用の常備菜を数日分作ることになりました。

〇洗濯干し・畳み

:赤ちゃんが生まれると、洗濯物は多くなります。また、竿に洋服を干す作業

が産後の身体には辛く感じられることもあります。

そのため、洗濯物を干し、前日干して乾いた洋服を畳むことを行いました。

〇赤ちゃんの沐浴・お世話

:産後8週間は子宮がまだ妊娠前の状態に戻っておらず、骨盤もまだ緩んでい

ます。赤ちゃんの沐浴は腰への負担が大きいため、極力母親以外の人が行う

ことをお勧めしています。

夫は平日沐浴ができない状況のため、産後ドゥーラが沐浴を行わせていただくことになりました。

産後3ヵ月経った頃には、Aさんと一緒にお風呂に入るようなったため、

沐浴は終了。

その頃から夜泣きで睡眠不足がひどくなったため、Aさんにはサポート中ゆっくり眠っていただくことを勧め。Aさんが寝室で眠っている間赤ちゃんを抱っこしたり、おむつ替えや寝かしつけなどのお世話を行いました。

※赤ちゃんのお世話を行っている間は赤ちゃんの安全上、調理など家事を行うことはできません。

3.Bさん:経産婦・妊娠初期および産後3ヶ月まで利用

<背景>

Bさんには2歳の女の子がおり、第2子を妊娠。悪阻がひどく、休職中。

料理をすることが辛いため、夫には極力外食をしてくれるよう頼んでいるが、長女の夕食だけは作らなければいけないと悩んでいます。また、保育園のお迎えや帰宅後の長女の相手も辛く感じる時があります。

悪阻がひどい時期にサポートを開始。悪阻が落ち着いた頃、一旦サポートを終了します。そして出産後、再びサポートを開始しました。

<サポート内容>

〇料理

:長女の好き嫌いを確認し、長女の夕食をメインに調理。

また、Bさんは悪阻のため食べられない食材や香り、味付けをお聞きしな

がら、無理なく召し上がれる常備菜を数品調理することになりました。

〇長女の保育園お迎え

:お迎えの時間になったら、調理を終了し、保育園に向かいます。道中は手をつないで歩き、おしゃべりをしながら帰宅します。

〇長女のお風呂介助/遊び相手

:保育園から帰宅したら、すぐにお風呂に直行。身体や髪の毛を洗ったり、脱衣所で身体を拭くお手伝いをします。

時間が余ったら、夕食の時間まで長女と遊んで過ごしました。

4.Cさん:初産婦・産後4ヵ月~1歳まで利用

<背景>

Cさんは産後1ヵ月間実家に里帰り。自宅に帰宅後は夫と赤ちゃんと3人の生活を始めましたが、赤ちゃんの夜泣きがひどく、睡眠不足の日々が続きました。

夫は家事全般を行うことができますが、平日の日中は会社に出勤しており、在宅していません。夜も夫の仕事に支障が出ないよう配慮し、赤ちゃんのお世話はⅭさん一人で昼も夜も行っていました。

自宅に戻ってから3ヶ月。ついに体力的に限界を感じるようになり、赤ちゃんが泣くと「またか」とイライラしてしまうようにもなりました。

夫の勧めで産後ドゥーラを利用することを決めましたが、

「みんな母親は頑張っているのに、頼ってしまって申し訳ない」とサポートを利用することに罪悪感を抱いている様子です。

<サポート内容>

〇赤ちゃんのお世話

溜まった疲労を回復していただけるよう、まずは寝室でしっかり眠っていただきます。

その間、赤ちゃんのお世話を行います。

授乳やおむつ替え、抱っこ、寝かしつけの他、月齢に応じて手遊びや歌遊び、おもちゃや絵本などの遊びを通して成長を見守ります。

〇育児相談

:Ⅽさんが困っていることや悩んでいることなどお話をお聴きしたり、育児のご相談に応じます。

核家族が増えた現代、一日中母親と赤ちゃんの2人だけで過ごすことが多いという家庭も増えていきました。しかし母親一人がすべての育児を背負い込む必要はありません。

父親や祖父母などご家族の他にも、産後ケアセンターや地域の子育て支援センターの保健師、助産師、一時保育の保育士、子育て広場の子育て支援者、ベビーシッターなど、

たくさんの人たちと交流することで、赤ちゃんの社会性が育ち、自立心も芽生えていきます。

「母親の私ががんばらなければ・・・」と無理をせず、周囲のサポート資源を遠慮せず活用していただけたらと願っています。

〇料理(離乳食作り)

:8ヵ月を過ぎた頃から夜泣きが落ち着き、Ⅽさんも赤ちゃんと楽しく過ごせるようになりました。

その一方、離乳食が始まり、離乳食の準備が大変に感じるように。

そこでⅭさんが赤ちゃんと過ごしている間に、離乳食作りを行うことになりました。

このように、赤ちゃんの様子や母親が困っている内容に応じて、サポート内容はお一人お一人異なります。また、赤ちゃんの成長とともに内容を変えていくこともできます。

母親が笑顔で過ごせることが何より大事です。

産後の生活にご不安な思いがある方、出産後困っている場合、どうか一人で抱え込まずに産後ドゥーラにお気軽にご相談ください。