初めて妊娠したら夫婦で取り組んでほしいこと ①

初めての妊娠では、どのように妊娠中を過ごせばよいのかわからないというご夫婦が多いかもしれません。

今回は、産後の生活をより良く過ごせるようになるために、妊娠期からご夫婦二人で取り組んでほしいことをお伝えします。

目次
1.妊娠がわかったら…
2.生活リズムを見直そう!

1.妊娠がわかったら・・・

妊娠すると女性の体は大きく変化します。妊娠初期にはつわりの症状が現れることも多く、妊娠前と同じようには生活できなくなる場合があります。

新しい命が宿ったことに喜びや幸福感を感じながらも、仕事や生活に変化が訪れることへの戸惑いや不安、怒りの気持ちが沸き起こることもあるかもしれません。

突然訪れた「変化」に様々な感情が渦巻き、不安定な気持ちになったとしても、それは当然なことだと思います。

妊娠期間は約10ヶ月間です。

この10ヶ月間は胎児が誕生できるまで成長する期間であり、女性が赤ちゃんと共に新しい生活を始めるための準備期間でもあります。

焦らずにゆっくりと「母親になる」という気持ちを育んでいってほしいと願っています。

男性は体の変化がない分、妊娠中から「父親になる」という気持ちが芽生えにくいと言われています。しかし妊娠中の女性の心身の安定には、パートナーである夫の理解と協力が必要です。

また「産後の変化」というと女性のことだけだと思われている男性もいますが、同じ屋根の下で暮らしている以上、男性にもまた「産後の変化」は同様に起こります。

ご夫婦二人にとって最善の産後の生活を迎えられるように、妊娠中からお互いの気持ちを話し合う時間を大切にしていただけたらと思います。

2.生活リズムを見直そう!

睡眠は心身ともに健康に暮らしていくためにとても大切なことです。

妊娠中はなおのこと十分な睡眠が必要とされ、太陽と共に生活すること、つまり早寝早起きがよいとされています。

また、つわりがひどい時や体調が悪い時は無理して活動しようとせず、昼間でも横になって、少しでも睡眠を取るようにするとよいでしょう。

しかし『2021睡眠白書』によると、睡眠時間に満足しているという20代女性は29.1%、30代女性は28.9%、40代女性は31.0%。

仕事などの関係で就寝時間が遅かったり、不規則な生活習慣が身についている女性たちは約7割に上ります。

それまでの生活習慣を妊娠後すぐに変えることは、難しいことかもしれません。

しかし、妊娠前と同じように暮らそうとすると、体に負担がかかるばかりでなく、精神的にもつらくなっていきます。

「しんどいな」と感じた時は、自分の体が「休んでほしい」と言っている時だと思いましょう。そんな時は「がんばらなきゃ」と無理をするのではなく、体からの『声』を素直に聴いてみてください。

いきなり規則正しい生活をしようとしても思うようにできず、返ってストレスになってしまってもいけません。

まずは1つずつトライしてみましょう。最初は自分にとって簡単なことから始めるとよいでしょう。

例えば・・・

・今までシャワーだけだったけれど、ゆっくりお風呂に入ることにする。

→平日が難しければ、休日だけでもOK! 慣れてきたら、一日おき、毎日と少しずつ増やしていきましょう。

・寝る直前まで携帯やパソコンを見ていたけれど、夜は目を休むようにする。

→最初は寝る前の10分間だけでもOK! 慣れてきたら、30分間、1時間、2時間…と夜に携帯を見ない時間帯を伸ばしていきましょう。

・今まで深夜12時過ぎまで起きていたけれど、就寝時間を早くしていく。

→最初は「今日中(12時)に寝る」という目標でもOK! 慣れてきたら、11時、10時と少しずつ早く寝るようにしましょう。

生活リズムを整えていく・・・という目標も無理なく、自分のペースで少しずつ進めていけるとよいですね。

そのためには夫の理解と協力が必要不可欠です。

家庭によって生活リズムはそれぞれ異なると思いますが、仕事で帰宅が夜遅くなっても妻が夕食の支度や片づけをするのが当たり前だと思っていたり、深夜に夕食を二人で取ることを一日の楽しみにしてきたご夫婦もいらっしゃるかもしれません。

それまで築いてきた二人の生活の在り方を変えるためには、妻の意識だけではなく、共に暮らしている夫もまた変化を受け入れる必要があります。

妊娠中から自分の体と向き合い、自分の体からの『声』に気付けるようになると、産後の変化にも対応しやすくなります。

多くの赤ちゃんは夜間も2~3時間おきにお腹がすいて泣くため、産後はどうしても授乳のために“細切れ睡眠”になってしまいがちです。

また産後直後の頃は赤ちゃんがすやすや寝ていても、心配で熟睡できないという人もいます。

産後直後は気持ちが高揚していて乗り切れることも多いのですが、睡眠不足の生活が長く続いてしまうと、体だけでなく心も疲れ果て、産後うつ病を引き起こす要因にもなります。

産後こそ自分の体と赤ちゃんの様子を見ながら柔軟に対応することが大切です。

夜眠れない場合には、昼間赤ちゃんが寝ている時にできるだけ一緒に横になり、少しでも体を休ませましょう。

そのためには、妊娠期以上に夫の協力と思いやりが重要になっていきます。

お休みの日には育児や家事を担当し、妻が授乳以外の時間は安心して眠れるようにしてあげるとよいでしょう。

妊娠期を経て、ご夫婦二人だけの生活から赤ちゃんと三人の生活に変わる時、生活リズムは大きく変化します。

そのため、妊娠期から二人でじっくり話し合い、生活リズムを整えておくと、産後の変化に戸惑いながらも柔軟に対応しやすくなるでしょう。

妊娠したら、ぜひご夫婦一緒に生活リズムを見直してみてください。

参考・引用文献

「助産師による妊娠期からの育児支援」 纐纈なつ子・服部律子著 岐阜県立看護大学紀要第15巻1号

「赤ちゃん そのしあわせのために」(財)母子衛生研究会