体験を通して主体性を育む子育て(幼児期)

前回は、乳児期についてお話をしました。

親子で楽しむ伸びやかな子育て(乳児期)

今回は、1歳~就学前の子どもの様子についてお話したいと思います。※

人間の赤ちゃんは、他の動物に比べてとても未熟な状態でこの世に生まれてきます。

首すら坐っていなかった赤ちゃんは、温かい大人とのやりとりの中で、心も身体も大きく成長し、約1年で意味のある言葉(初語)を話し、立っちやあんよが少しずつ出来るようになります

この時期の子どもの発達は目ざましく、「言葉の獲得」「道具の使用」「自立歩行」が出来るようになるそのスピードは、まさに人類の進化をも感じさせる神秘です。

幼児期に入ると、知的好奇心の趣くままに、自分なりのペースでぐんぐん成長していきます。

そこで今回は、「体験を通して主体性を育む子育て(幼児期)」をテーマに、幼児期の子どもたちの成長を辿ってみましょう。

※「乳児」「幼児」の捉え方は様々で、児童福祉法では「1歳~就学前」、心理学などでは「1歳半くらい~就学前」、保育現場では0,1,2歳児を「乳児」、3歳以上を「幼児」と位置付けており、ここでは児童福祉法に則って「幼児」を位置づけています。

目次

1.自分を深めたい1、2歳児
2.人とつながりたい3、4歳児
3.やりがいを求める5、6歳児
4.幼児期を通して見えてくる子どもの姿

1.自分を深めたい1、2歳児

① 1歳児の「ドキドキ」

個人差はありますが、1歳前後になると、初語(意味のある言葉)が出始め、歩き始めます自分の存在に気づき、出来ることが増えていくと、興味があるものに対して一直線に向かう姿が見られます。傍から見ると危なっかしくもあるその姿は、「ドキドキ」「ワクワク」しながら強い意志をもって行動する主体的な姿です。

その姿を見守ってくれる大人に対して、「もっと伝えたい」「もっとわかって欲しい」という気持ちは、「言葉の発達」につながっていきます。

そして見守ってくれる大人の存在は、「人とつながりたい」という気持ちの源泉となります。

② 2歳児の「イヤイヤ」

見守る大人を起点に子ども同士のかかわりがぐっと広がる2歳児は、他者とイメージを共有することであそびを広げていきます。伝えたい気持ちは言葉の発達も促し、知っている言葉をつなげて二語文を使う姿が見られるようになります。また、生活や遊びの中で、少しずつ場面に合った言葉や行動を獲得していきます。出来ることが増えてくる分、「もっとやりたい」「自分をもっと試したい」という気持ちが生まれ、「イヤイヤ」という姿になって現れます。「気持ちの切り替え」は、大人でも難しいですよね。「その気持ち、わかるよ」と共感してくれる大人の存在に甘え、自分なりに納得する経験を重ねることで、少しずつ自己抑制力が高まっていきます。

2.人とつながりたい3、4歳児

① 3歳児の「青春」

身辺自立がぐっと進む3歳児は、自分に自信をつける中で「自尊心」も高めていきます

会話が成立するようになり、ものごとの「因果関係」にも目が向くようなるので、「なぜ?」「なんで?」という質問が増える時期でもあります。「知りたい気持ち」を受け止める大人がいることで、知的好奇心は高まっていきます。また、イメージがさらに広がる中、仲間とのごっこ遊びを楽しむ経験は、疑似体験を通じて「自分の行動を調節すること」や「相手の立場を理解すること」の土台となります。

② 4歳児の「いざこざ」

4歳になると、自分自身の広がりと同時に「周りからどんなふうに見られているか」を意識できるようになります。だからこそ「葛藤」が生まれ、お友だちとの「いざこざ」や「ケンカ」が増える時期でもあります。大好きなお友だちがいるからこそ、「どうしてわかってくれないのかな」「素直に『ごめんなさい』をするのは悔しいな」「自分だけうまく出来ないのはどうしてなのかな」というような、複雑な気持ちが生まれるのです。そんな時に気持ちを理解して励ましてくれる大人の存在は、「勇気を出して伝えてみようかな」「もう少し頑張ろう」という勇気を育む土台となり、経験を重ねることで「自制心」も少しずつ育っていきます。

3.やりがいを求める5、6歳児

5~6歳頃になると、ますます運動機能が伸び、就学に向けてさまざまな土台が生まれます。時系列の変化がわかるようになり、「昨日と明日の間に『今日』がある」と理解が出来るようになるので、生活の中で日々の流れがつかめるようになり、「お誕生日まであと何日」というような、「未来に期待感を持つ」ことが出来るようになります。よりよい未来のために、みんなで「話し合い」をするなど、自分たちで解決しようとする姿は、学童期に向けた準備段階でもあるといえます。

4.幼児期を通して見えてくる子どもの姿

幼児期を通して、試行錯誤しながらたくましく育つ子どもたち。

「ワクワクやドキドキ」「つまずきや葛藤」を含めて、近くで温かく見守る大人の存在は

子どもたちに勇気を与えます。

十人十色、一人ひとり違う子どもの姿を楽しみたいですね。

次回は「幼児期」の先にある「学童期」についてお話しようと思います。