明日から使える!子育て・保育テクニック! 子どもへの言葉がけ編:脳が育つ言葉がけ!?

みなさんは、お子さまやお孫さんにどのような言葉で話しかけていますか?

先生方は、現場で子ども達に言葉がけをする時、気をつけていることはありますか?

 

言葉がけが大切とわかっていても、なかなか上手な言葉選びや伝え方をするのは、難しいもの…

講演の依頼などを受けていても、「言葉がけ」や「コミュニケーション」は、人気がある講演依頼のテーマです。

 

受講生や保護者の方から…

「誰にでもヒットする魔法のような言葉はありませんか?」

という質問もよくいただきます。

色々な書籍などが出ているので、ないとは言い切れないのですが、一人一人違うので響く言葉も異なります。

 

そんな魔法のような言葉があったら、とても助かりますよね!

魔法は使えませんが、テクニックはあります。

今回は、子どものコミュニケーションの理解と子どもに伝わりやすいポイントを一緒に見ていきましょう。

子どもとの向き合い方も変わるかもしれません!

目次

1:泣くということ

2:言葉がけは、大切なコミュニケーション

3:テクニック!具体的に伝えると脳が育つ!

4:さいごに

1:泣くということ

☆子どもにとって泣くとは??・・・・・・・・・・・・・

 

泣いている赤ちゃんに対して、「赤ちゃんは泣くのが仕事だから…」と言う言葉を聞いたことはありませんか?

 

「仕事なら仕方ない」「頑張っているんだもんね」

そんな風に解釈できたら、子どもの泣き声に対しても少し優しい眼差しで見られるのかもしれません。

(私は、この言葉を聞くたびに、どこか日本人らしさを感じてしまいます。)

 

しかし、泣くことは仕事ではありません。

泣くということは、子どもにとって「大切なコミュニケーション」です。

赤ちゃんは、口腔内の筋肉などがまだ未熟なため、発声や泣き声は母音に近い音しか出すとができません。

そのため、子どもが何か話したい(伝えよう)としても私たちが使っている“言葉(母音+子音)”を使うことは難しいので、なかなか大人は理解できず、お互いにストレスになってしまうことが多くあります。

 

そこで、提案です!

「泣くのは仕事」と思うより、本質を押さえ「泣くことは、赤ちゃんなりに何か言いたいことを表現している。でも…何言っているかわからない!だから、考えてみよう」と思ってみるのはいかがでしょうか。

何を言っているかわからなくても、「何か言いたいことがある」と分かるだけで想像が広がりませんか?

☆泣くことへの 4steps・・・・・・・・・・・・・・・・

 

泣いてコミュニケーションを取るのは赤ちゃんだけではありません。

子どもは、少し大きくなっても、泣くことで自分の気持ちや考えを表現することは多くあります。

話せるようになっても自由に言葉を使いこなすには、小学生以降まで時間がかかります。

「泣かないで説明しなさい」「泣いていても変わらない」

と言われても、子どもにとっては“わかっていても言葉では表現できない”というのが本音の場合も多くあると思います。

そんな時は、次の4つのステップ(The corresponding cry 4steps ;2018 神田)などはいかがでしょうか?

 

 

『The corresponding cry 4steps』

①まず!子どもが感情を表す(泣きたい時は泣く、怒りたい時は怒るetc)

→ ②大人が落ち着いてから感情を受け止める

(「今頭にきたよね」「悲しかったよね」など)

→③理由や話を聞く

→④どうすればよかったか伝える/確認する(次回出来たら褒める)

 

感情表現をすることは悪いことではありません。逆に、感情を表すことは“感情コントロール”に繋がる重要な体験です。4stepsの様に、まずは思いっきり感情を出し、その後でその感情を一緒に抑え、話を聞いて、どうすればいいか確認(教える)し、次出来たら褒めることが重要です。一緒に整理をして行く経験を積み重ねていくことで、“伝える方法”についても子どもは習得し、考えることもできます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2:言葉がけは大切なコミュニケーション

☆コミュニケーション力を育てたければ言葉にたくさん触れること

 

「お話が出来る子になってもらうには?」「語彙力を高めるには?」

など保護者の方から質問されることがよくあります。

どの年齢のご家庭にも共通して言えるのは、

「大人がよく見て、よく聞いて、よく話すこと」。

 

 

*どんなに子どもが素晴らしいことを見つけてをしても、大人が先取りの解釈をしてしまってはせっかくの子どもの発見も想いももったいない。

*どんなに子どもが話したいと思っても、大人が聞く姿勢がなければ、そのうち子どもは話すことをやめてしまいます。

*どんなに子どもが語彙を覚えたとしても、アウトプットしていかなければ(話す)語彙は育っていきません。

 

また、子どものコミュニケーションや語彙力を伸ばしていくためには、子どもがたくさん言葉に触れていくことが重要になります。

子どもが言葉を覚えていく際、“周りにいる大人の影響”を多く受けます。

基本、子どもは耳にしている言葉で、語彙を覚えていきます。

 

 

*(大人)汚い言葉・雑な言い方→(子ども)汚い言葉・雑な言葉

*(大人)丁寧な言葉・正しい日本語→(子ども)丁寧な言葉・正しい日本語

 

つまり、“大人が使う言語がどういうものかによって子どもが話す言葉が決まる”と言えます。

“どのような言葉で、どれだけ言葉に触れてきたか”によって子どもの使う言葉が変化していきます。

そのため、大人が正しい日本語で、いかに言葉に触れる機会を作れるかが要です。

そのことを大切にしながら、絵本や言葉がけなど…多くの言葉に触れるチャンスを大切にしてみるのはどうでしょうか。

 

☆言葉以外のコミュニケーションツールをたくさん使っている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

子どもは、お話が好きな子ばかりでも・言語で上手に表現できる子ばかりでもありません。

シャイな子や、「お話しするのが苦手」「上手に伝えられない」と感じている子も多くいます。

そんなコミュニケーションを苦手にする子も気持ちや想いはあります。

では、どんな方法で自分の想いや気持ちを表現しているのでしょうか?

 

コミュニケーションツールは、話す以外にも様々な方法があります。

 

 

*目線 *生活習慣 *遊び方 *仕草(癖)*他の人に伝えてもらう *感情表現 など…

 

子どもは、身近にある行動を使い、自分の気持ちや想いを伝えることができます。

 

ついつい大人は、言語での表現を頼ってしまいがちですが、言語以外の方法も立派なコミュニケーションツールです!

言語以外のツールを使って、表現する子どもの努力を知り、応えていくことが大切だと言えます。

例えば、子どもが言葉で表現することが難しい気持ちを代わりに言ってあげたり(代弁)、一緒に伝えたり、ぜひフォローすることを通して、“やりとりする楽しさ”を伝えていただけたらと思います。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3:テクニック!具体的に伝えると脳が育つ!

 

色々とお話をしてきましたが、最後に今までのお話を含めてテクニックについてご紹介します。

ご紹介するテクニックは、シンプルなものばかりですが子どもの認知や言語の発達を意識したものなので、子どもにとって“負担が少ない=脳が育ちやすい”ものだと思ってください。

①絞って伝える!

・子どもは、長い文章や多くのことを伝えても、記憶や認知の発達から“何を言いたいのか?”が伝わらない・頭に残らないことは、多くあります。

・伝えたいことは1つか2つに絞って、子どもに伝える工夫をしてみてください。グンと聞く力と理解が深まるはず!(色々伝えたいことがあってもぐっと我慢。それは次の機会に!)

例:なかなかありがとうが言えない子。友達にありがとうと言えた。

でも人の目を見ないで、ぶっきらぼうに言った。

→△「ありがとうってよく言えたね。でも、人の目を見てもっと丁寧にいえないのな?」

→◯「ありがとうって上手に言えたね。」

(もっと言いたいことあるけど…我慢。次の機会に一つずつ)

②短く伝える努力!

・具体的に絞って伝える時に、もう一つ意識するのは“短く言う”ことです。

短く、的確に表現された言葉は、子どもの理解を促します。

・“想いを伝える”際に重要なのは、“相手にわかりやすく伝えること”です。

大人の目線だと、長い説明をつけたくなってしまうのですが、子どもの発達に合わせ工夫をすることが必要です。

 

 

ダメなものは、まず「だめ」と…上手だと思った時は、まず「上手」と…

嫌だなと思ったことは、まず「嫌だ」と…

 

 

③具体的に伝える!

最後に、もう一つ意識することは“具体的に伝える”ことです。

キャロル・s・ドゥエックは、「脳は、変化しないものではなく、成長していく(柔軟である)という考え方が、脳を育てる」と考えています。

脳が柔軟になるためには、脳にわかりやすく“指示を出す”ことがポイントになります。

わかりやすく指示を出すコツは、“より具体的に伝える”ことが重要になります。

より具体的に伝えることで、“何についていわれているのか”が伝わり、理解に繋がります。

 

 

例えば、

「上手!!」と伝えるだけでなく、「〇〇が上手だね」。

「頑張ったね!」と伝えるだけでなく、「〇〇頑張ったね」。

「ダメ!」と伝えるだけでなく、「〇〇したらダメ」。

 

4:さいごに

整理しましょう!今日ご紹介したテクニックは…

『伝えたいことは絞り・短く・具体的に!!』

 

いつもの言葉がけを少し変化させるだけで、子どもにわかりやすく、負担が少ない言葉がけに変身します。

誰にでもヒットする魔法の言葉は、ありませんが、コツを使って1人1人に響く言葉を見つけていくことはできます。

今日ご紹介したポイントは、発達心理学や教育心理学からまとめました。

0・1歳前後の小さなお子様から大学生や大人まで十分使えるものだと思います。

 

まずは!是非、使ってみてください。

コミュニケーションは、コツがわかればグンと面白くなります。

まだまだ、お伝えしたいことがありますが・・・今日はここまで!

 

 

参考資料・キャロル・s・ドゥエック 2016  マインドセット「やればできる!」の研究 草思社

・神田奈保子 2018 講義資料(子どもの発達、乳幼児の発達と心理、乳児保育、幼児保育、学童期の発達他)