誰も教えてくれない人間関係の処世術~前編~

こんにちは。対人関係療法を専門にカウンセリングをおこなっている、島崎です。

突然ですが…人間関係に困った経験ありますか?
今までの人生の中で1度も人間関係に困ったことがないという方は少ないのではないかと思います。
今困っている方も昔困ったことがある人も、このコラムを読んで少しでも対人関係のヒントが得られれば嬉しいです。

そんな思いから、今日は人間関係を整理するポイントを対人関係療法の観点からお話ししたいと思います。
(前回書いた、「対人関係療法を受けよう」のカウンセリングの中でおこなう、2と3を詳しく説明します)

対人関係の整理術

目次

1:自分を中心軸と考えて、周りの人がどの位置にいるか考えてみよう

2:コミュニケーションの質を確認しよう

自分を中心軸と考えて、周りの人がどの位置にいるか考えてみよう

私たちは、様々な人と関わりながら生きています。
家族、友人、恋人、職場の人、ママ友、ご近所さん、毎日エレベーターで会う人、たまたま入ったお店で隣に座った人…
書き出してみるとキリがありません。
例えば、「家族」と「たまたま入ったお店で隣に座った人」を比べると、関係性も関わる時間も質も大きく異なります。それなのに、同じ質のコミュニケーションをとろうとすると、とても疲れてしまいます。

それでは、どのように人間関係を整理すればよいのでしょうか?

人間関係を整理する時に、右に記載した3つの円を使うことで人間関係を整理しやすくなります。

まず、自分が円の真ん中に立っていると考えてください。

・濃い青色の小さな円
中心の円の中には「重要な他者」を入れます。
「重要な他者」とは、その人に何かあったとき、あなたの情緒に最も影響を与える存在です。例えば、家族や恋人が入ります。

・真ん中の円
真ん中の円には、重要な他者ほど強くはないけれど、それなりに親密な関係をもっている人をいれます。
例えば、友人や親せきを入ります。

・薄い水色の大きな円
真ん中の円の方よりも遠い関係の人が入ります。
例えば、職場の人や、学校のクラスの人が入ります。

このように、人間関係の配置を分けていくと、対人関係の中で困っている人があなたにとって、どの位置にいるか分かります。
それと同時に、あなたの大切な人が分かります。

*もし、「重要な他者」に職場の人が入る場合は、その職場を辞めた後でもその人と付き合いが続くと思うかどうかも含めて考えてみてください。もし、仕事を辞めたらかかわりがなくなる関係性であれば、それは薄い水色の円に入れましょう。

*この円の中に当てはまる人数は関係ありません。

このように目に見える形で人間関係を整理した時、あなたが困っている人はどの位置にいましたか?

また、あなたの「重要な他者」は誰でしたか?

コミュニケーションの質を確認しよう

さて、あなたにとって「重要な他者」が分かったところで次はコミュニケーションの質を確認しましょう。

もし、困っている人が「重要な他者」ではない場合
・「重要な他者」に困っている人の話をどれくらいできていますか?
・「重要な他者」はあなたの話をどのように聞いてくれますか?

一見、重要な他者の事で困っているわけではないのに、どうして重要な他者に話せているかどうかを確認するのかと思いますよね。
しかし、今までも今後も身近にいる「重要な他者」に大切な話ができないというのは、コミュニケーションのズレを起こしやすくなる可能性があります。重要な他者とのコミュニケーションを見直してみてもいいかもしれません。

重要な他者に話せていないという方は、言いづらい何か思いがおありでしょうか?
また、伝えているのに伝わらない、思った反応と違うという方は、どのように伝えると相手に分かってもらえるのでしょうか?(この疑問には次回詳しくお伝えしますね)

もし、あなたが悩んでいる人が「重要な他者」である場合
・「重要な他者」の不満な部分はどういったことでしょうか?
・満足している部分も考えてみましょう。
・相手に抱いている期待を整理してみましょう。
・その期待は、適切な期待でしょうか?

重要な他者とのコミュニケーションはとても難しいです。身近な人には、より感情的になります。また、期待値も上がります。当然のことです。だからこそ、質の良いコミュニケーションがとることが大切です。重要な他者と質の良いコミュニケーションをとることで、心の健康度も保たれます。

あなたが1人では難しい、1人の力では関係を修復することは不可能と感じているなら、対人関係療法で一緒に話をしていくことができます。
対人関係療法では、関係を100%修復できるということではありません。
あなたの困りごとを一緒に整理し、関係性を見つめ直すお手伝いができるということです。

社会で生きる中で、コミュニケーションは必須です。それなのに、人間関係の整理方法は誰も教えてくれません。

人間関係を整理することは大変な人もたくさんいると思います。
しかし、この円を知ることで、「新しい出会いへの恐怖心が少し減った」という声を多く聞き、よりたくさんの方にこの円(対人関係療法では「親しさサークル」と言います)について知っていただきたいと思いました。

筆者は、人は人によって癒されると信じています。

でも、相手を間違えると傷つくこともある。あなたがあなたを守る1つの方法として、この円が役に立つことを祈っています。

次回は、誰も教えてくれない人間関係の処世術~後編~ どのように気持ちを伝えていけばいいのかを詳しく書きたいと思います。お楽しみに☆

参考文献
水島広子 2004 自分でできる対人関係療法 創元社