愛情が子どもを育てる!!

「愛情に勝るものはない」など、子育てや保育の中で“愛情”について語られる場面は、多くあります。育児書や大人のための絵本などでも、“親子愛”について取り上げられているものは珍しくありません。

「忙しいから~」「愛情表現なんて恥ずかしい」など思う人も少なくないはず。今日は、そんな人達にも知ってほしい!「愛情を子どもが感じる事で、子どもがグンと育つ」という事をお伝えしたいと思います。

目次

1:愛着関係

2:愛情を感じているほど可能性が無限大!?

3:愛情は質が問題

1:愛着関係

愛着関係とは、「大人と子どもの温かい絆の関係」と言われます。

子どもは、お腹の中と外の環境が全く異なるため、生まれてから不安もいっぱいです。

そんな不安な中で、子どもは“特別な人”を探そうとします。

子どもにとって“特別な人”とは、きちんと応えてくれる人です。自分のサインに気が付き、声をかけてくれ、「どうしたの?」と一緒に考えてくれる人です。

愛着関係の形成は、子ども達にとって初めて作る“安全基地”と言えます。

☆だれが安全基地になれるの?

安全基地になるためには、条件があります。何だと思いますか?

“自分のサインを受け止めてくれる回数が多い相手”です。

家庭で育っている時間が長ければ、お母さん・お父さん・おばあ様・おじい様などが安全基地になることが多いでしょう。

「安全基地は、ママと結ばれる愛情の絆」と表現されることもありますが、必ずお母さんと結ばれるわけではありません

低月齢・低年齢から保育園などで長時間保育を利用している場合、一番初めの安全基地が“保育者”になることも十分考えられます。

重要なのは、“安全基地の人は、子どもの人間形成の基盤を作る意識を持つこと”です。

子どもが出すサインは、泣き声や行動が多く、100%理解するのは難しいです。

“理解するのが難しい!だから、まずは受け止める!理解は子どもと周りと一緒に!”と考えてみてください。

子どもにとって、理解してもらえることはゴール地点ですが、理解しようと向き合ってくれる過程は信頼関係を作る重要なプロセスになります。

「何言っているかわからない!」ではなく、「どうしたの?んーママもわからないな。何だろう?」というような言葉に少し変えるだけでも、大人のストレスも少なくなるかもしれません。

2:愛情を感じているほど可能性が無限大!?

愛着関係は、子どもにとって安全基地になるだけでなく、安心基地にもなります。

困った時や泣きたい時、甘えたい時に“ギュ”と抱きしめる・寄り添ってくれる、子どもの声をきちんと代弁をしてくれるなど守ってくれるのが、“安全基地”

「嫌だったね」「大丈夫だよ」「どうしたいの?」など心を受け止めてくれるのが“安心基地”

安心安全は、対になる重要なキーワードです。

またこの安心安全基地は、乳児期に築くことが非常に重要になりますが、そこで築くことが出来なかったら“おしまい”というわけでもありません。

保育現場で“問題行動が多い”と言われるお子様達と接する中で、「愛情不足かな…」と感じることが多くあります。愛情不足という事は、“基地がない”もしくは“基地の大きさが合っていない”という状態が考えられます。

人は、自分が経験したことから行動や思考の傾向が決まっていきます。

“基地不足”は、戻れる場所が出来ていない状況のため、「安心できる瞬間が少ない・いつも頑張らなくちゃいけない・認めてもらいたい・自分を守るために必死」など気になる行動を引き出していきます。

*安全基地あり*

安心・戻れる場所があるのを知っている・周りの変化に適応できる・周りを受け入れる・認めてもらう経験をしている。

 

*安全基地なし*

安心できる瞬間が少ない・いつも頑張らなくちゃいけない・認めてもらいたい・自分を守るために必死

改めて考えると“基地不足”の中にいる子どもにとって、気になる行動(問題行動)をするのは、当然の事だと思いませんか?気になる行動(問題行動)は、子どもにとって“サイン”だと考えてみてください。

「こうしてほしい」「今~する時間でしょ」「いつも言っているでしょ?」など大人の“願い”ばかり伝えても、“受け止めてもらえる経験”“安心できる経験”が少ない子にとって、“受け止める事”は難しいことです。

☆信頼関係を作ることで話を聴いてくれる!?

子どもと一緒にいると「言うこと聞いてくれない」「反抗的?」と思うときありませんか?

皆さんならどうしますか?

A)何としてでも言うことをきかす B)諦める C)放っておく D)信頼関係を作る

お勧めなのは、「D」になります。

信頼関係が出来ていない中で、子どもに伝えても心に響きにくい状態です。子どもと信頼関係が出来ると、グンと子どもの反応も変わります。では、信頼関係を作るときのキーワードを2つお伝えします。

①試し行動に惑わされない

信頼関係を作るときに、子どもは「この人は、どう受け止めてくれるのだろう」と言う気持ちから“試し行動”をすることが多くあります。

試し行動は、「意図して困らせることを言葉や行動で表現」します。この時、子どもは“大人がどう反応するのか”よく見ています。

大切なことは、“一貫性を持った対応をすること”です。大人の怒る基準・褒める基準などをブラさないこと!これが重要です。

一貫した基準を設けることで、子どもは「この人は、言っていること/やることが一貫している」という事を学習できます。すると、“どんな時でも同じ態度で接してくれる”=“安心安全”と感じることができます。

②わかりやすい表現で!

子どもに「話聞いてるよ」「好きだよ」という好意的な気持ちをストレートに伝えるのは、恥ずかしくてハードルが高いという方も多いのではないでしょうか。

しかし!思っているだけではなかなか相手に伝わりません!!

では、どうするか?

シンプルで明日からできる方法でお勧めがあります。“目を見る事”です。

目線は、意識の方向性を示します。きちんと相手の目を見ることで、相手に「あなたの話に関心を持っていますよ」と伝えることができます。

私も保育の現場で子どもとコミュニケーションを取る時、実際に“目を合わせる事”を意識します。目を合わせた時と、目を逸らせたままの時では子どもへの響き方が違うと感じることは多くあります。いつも自然にこちらから合わせるようにしたり、「ここは絶対逃がせない!」というときは、「目を見て!」と伝えてから話します。

ぜひ、“目を合わせる習慣”を私たち大人からつけていきませんか?

3:愛情は質が問題

最後に、愛情は時間よりも質が重要という事についてお話をしたいと思います。

「愛情は重要だとわかってもどれくらいの時間をかければいいの?」と疑問を持たれる方もいると思います。共働きの方でも専業主婦/夫の方でも、時間に追われる人は多いのでないでしょうか。

愛情は、“どれだけ時間をかけるか”も重要かと思いますが、“どのような愛情を渡してきたか”が重要になります。

保育士として現場で勤務していた時に、長時間保育を利用するご家庭を多く見てきました。長時間保育を利用するという事は、家庭での時間が短いという事が想像できます。

では、長時間保育の子達が愛情にみんな飢えていたか…というとそういうわけではありません。また、短時間の保育だとしても満たされていない子もいます。

時間は長ければ、親子の時間が取れるため長いことは素晴らしい事かと思います。しかし、重要なのは“質”です。

短い時間であったとしても、その時間で子どもの想いに寄り添い、共有し、お互いに成長していくことができれば、子どもとの関係は充実したものになります。

また重要なキーワードは、“子どもが求めている愛情を渡す”という事です。「習い事をたくさんさせている」「お金をかけている」「嫌がることはさせない」「なんでもほしい物には応えている。」これらは、大人が勘違いしやすい“大人の視点の愛情表現”です。

“大人の視点の愛情表現”は、時に子どもが求めている愛情表現と異なることがあります。

「僕の話を聴いてほしい」「ギュッとしてほしい」「笑って」など…子どもは、他の愛情を求めている場合もあります。ぜひ、そんな“子どもが求めている愛情”をもう一度子どもの視点に立って考えてみてください。

たくさんの大人の愛を感じることで子どもは、心と体の基盤を作っていきます。

どうぞ、お子様たちと素敵な時間を積み重ねってください。