「子どもを叱れない」「どうやって褒めればいいのか分からない」という“悩み”を抱えている先生方や保護者と多く出会います。
数年前から「褒めて伸ばす子育て」が話題となっています。育児書やビジネス本を手にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
褒めることは、『相手を受け入れること、認めること』に繋がるため、とても重要になりますが、何でも褒めれば良いわけではありません。今回は、褒めることと、叱ることのバランスについてまとめてみました。
1.叱ることは悪いことではない
2.小さなことでも褒める
3.バランスが取れれば笑顔になれる
1.叱ることは悪いことではない
現代では、『叱って育てる』より『褒めて育てる』方法に価値を感じる人も多いのではないでしょうか。人によっては、叱ること=虐待というイメージを持つ人もいるかもしれません。
『叱る』という行動はネガティブなイメージが強いですが、人が学んでいく時に必要な行動になります。善悪の判断がつかない状況、経験値が少ない状況では、『それは違う』『やってはいけない』としっかりと伝えていくことで、物事の理解に繋がり、人生をより豊かなものにしていきます。
叱られる方は、『否定』されたような気持ちになることも多いので、泣いたり、怒ったり(キレたり)することは十分想定できます。相手の反応を心配し、「叱る」ことが上手にできない親、先生、上司が多いと感じます。実際に相談されることが多い内容を、Q&Aで見ていきましょう。
「叱る」とつい怒鳴ってしまったり、感情的になってしまったりします。そうすると、格好が悪くて・・・・
A1.「叱ること」は、『感情をぶつけること”とは違います。「叱る」ことの背景に、『怒り』の感情があったとしても、それを相手にぶつけても届きません。「叱る」という行動には、常に『相手』がいます。つまり「叱る」ことは、コミュニケーションの1つだと考えてみてください。コミュニケーションで重要なことは『伝える工夫をする』ことです。自分の価値観を中心にして伝えると上手くいきません。自分の気持ちをぶつけるのではなく、相手に「何が問題か」わかるように言いたいことを絞って伝えてみてください。
叱りポイント1☆『言いたいことは絞って、感情を入れすぎないこと』
「叱る」時、どうすれば相手に伝わりやすくなりますか?どうしてもクドクド言ってしまいます。
意識しないとついクドクド長くなりやすいですよね。「叱る」時は、『なるべく短い言葉』で『何が問題』で『なぜ問題』なのかを整理しながら伝えることが有効です。短い言葉で伝えると情報量が限られるため、記憶に残りやすくなります。長くなるほど言いたいポイントが伝わらなくなります。また、『何が問題』と『なぜ問題』を分けて考えることをお勧めします。『何が問題』は、出来事や考えなど問題となっている事柄を指します。『なぜ問題』は、理由を指します。「叱る」ことは、相手に「嫌いだから言っている」「攻撃された」と誤解を生むこともあります。出来事と理由を分けて伝えることで「何がダメなのか」「なんで問題なのか」論理的に話すことができるので、相手に正確に伝わりやすくなります。
叱るポイント2☆『短い言葉で「何が」と「なぜ」を整理して伝えること』
2.小さなことでも褒める
最近、皆さんは誰かを褒めたり、褒められたりしましたか?
「褒める」と不思議なことに、褒める方も褒められる方も『幸福感』を感じることができます。
笑顔や褒める言葉は、赤ちゃんの頃から理解することができます。
叱ることが多くて、褒める部分が相手に見当たりません。どうしたらいいですか?
少しでも頑張っているところや成長していることを探してみてください。完璧にできていることや結果を「褒める」ことは、『認める行動』としてとても重要になります。しかし、完璧にできることばかりではありませんし、結果が必ず出るとは限りません。積み重ね(過程)を褒めることも、認める行動になります。叱ってばかりいると相手の欠点ばかりが誇張されて見えてしまうのは、当然のこと。パーフェクトでなくてもいい。まずは1つ、相手の良さを知るつもりでもう一度探してみてください。
褒めるポイント1☆『パーフェクトでなくてもいい。小さな褒めポイントを探してみよう』
褒めているつもりなのですが、相手に伝わらないことがあります。コツはありますか?
「すごい」「頑張ったね」など褒める時に、『相手に伝える方法』を意識していますか?日本人は、控えめな表現に長けています。そのため、『さりげなく』『控えめ』に褒めることが自然と多くなります。本人は褒めているつもりでも『感情が伝わらない言い方(棒読み)』『表情が伴わない(無表情)』『相手を見ていない』など、褒めている側が「嬉しそうじゃない」場合、相手に伝わりにくくなります。褒める時には「言わなくても分かる」ではなく、『幸せを共有するつもり』で「伝える」ことを意識してみてください。優しいまなざしで、少し口角を上げて、明るいトーンを意識するだけで「褒め上手」になれます。
褒めポイント2☆『思っていても伝わらない。褒める時は、声や表情、行動で示してみよう。』
3:バランスが取れれば笑顔になれる
ここまで「叱る」と「褒める」についてお伝えしてきました。
「叱る」ことも「褒める」こともそれぞれ魅力があります。どちらかだけの方法ではなく、『叱る時は叱り、褒める時は褒める』ことが、関係性をつくりコミュニケーションを円滑にしていきます。また、子どもの人生にとってとても重要な経験となっていきます。
「叱る」「褒める」の両方ができるようになると、自然とストレスも減り、笑顔が増え、心に余裕が生まれます。
どうぞ、叱ってください!そしてたくさん褒めてください!その時間が絆を育てていきます。