こんにちは。産後ドゥーラ兼公認心理師として訪問型産前産後サポートを行っている後藤さよこです。
赤ちゃんのため、産前産後の女性たちのために何かできることはないだろうか?
自分の子育て経験や特技を活かせる仕事はないだろうか?
そう思われている方はいらっしゃいませんか?
今回は、産前産後の女性に寄り添い、産後の生活をサポートする専門家『産後ドゥーラ』になる方法についてお伝えしたいと思います。
1.産後ドゥーラ(Doula)とは
2.産後ドゥーラになるには
3.産後ドゥーラとしての働き方
1.産後ドゥーラ(Doula)とは
『Doula』とはもともとギリシャ語で『女性を援助する女性』という意味があり、現在欧米では、分娩中や産後の女性をサポートする職業の名称として使われています。
日本では2012年に一般社団法人ドゥーラ協会が発足し、産前および産後に妊産婦の自宅に訪問してサポートを行う民間資格『産後ドゥーラ』が誕生しました。
産後ドゥーラは母親の気持ちに寄り添いつつ、赤ちゃんとの新しい生活をスムーズに送れるよう、家事や育児のサポートを行います。
『家事サポート』では、産後の身体によい食事作りや離乳食作り、掃除、洗濯など、日々の家事のお手伝いをさせていただきます。
『育児サポート』では、おむつ替えや寝かしつけなど赤ちゃんのお世話や沐浴、育児相談の他、上のお子様の園への送迎などを行います。
そして、私たち産後ドゥーラが何よりも大事に心がけているのは、母親の気持ちを大切にお話を聴き、産後の身体が回復するようサポートする『母親サポート』です。
※詳細はこんぺいとうコラム『産後ドゥーラってなに?①②』をご参照ください。
2.産後ドゥーラになるには
(社)ドゥーラ協会では年2回(4月開講/9月開講)、産後ドゥーラになるための養成講座を開講しています。
平日コース、土日コースがあるため、自分のライフスタイルに合わせて受講することが可能です。
また、東京都23区を中心に首都圏に住んでいる方々は、大井町や築地の会場で対面講座を受講しますが、地方に住んでいらっしゃる方や会場受講できない方々は、Web講座を受講することもできます。
養成講座では「妊産婦の心身の変化」や「乳幼児の病気・発達・保育」「産後の身体によい食事作り」「コミュニケーション方法」など、赤ちゃんや産前産後の女性をサポートするために必要な知識について学びます。また、調理や沐浴、救命救急などの実習も含め、約75時間の講義を行っています。
また、認定後安心して活動を始められるよう、サポートの準備や方法、事例検討など具体的で実践的な講義も用意されています。
講座受講中には課題提出が複数回あり、修了後に筆記試験・理事面談があります。
試験に合格した者のみドゥーラ協会認定産後ドゥーラとして開業することができます。
週1回の講座受講を経て認定まで約4ヵ月半ほどかかり、5ヵ月目以降から活動できるよう、保険加入手続きなど準備を行います。
受講料は約40万円ですが、2023年現在下記の自治体では受講料の一部助成が行われています。
・中野区・品川区・目黒区・港区・大田区・埼玉県三芳町
※年度によって変わることがあります。また、助成を受けるにあたって、一定の条件を満たす必要があります。
自治体によって申請時期や申請方法、条件が異なっています。受講前に必ず区に問い合わせてご確認ください。
※いずれの自治体も認定後の支給になるため、まずは全額支払う必要があり、認定されなかった場合(試験で不合格になった場合など)全額自己負担になります。
産後ドゥーラに求められている知識や技能だけでなく、対人援助職としての適性も含めて認定の合否が決まります。
「講座内容が深くて、課題が大変」「もっと楽になれると思っていたのに」
という受講生たちの声を耳にすることもありますが、厳しい授業と試験を経て認定を受けた産後ドゥーラたちだからこそ、母親たちと真摯に向き合い、満足度の高いサポートをご提供できるようになるのだと思っています。
家事や育児をしながら、仕事をしながら養成講座に通い続けることは本当に大変なことだと思います。
しかし「本気で産後ドゥーラになりたい!」という熱い思いを持った方々にぜひ受講していただけたらと願っています。
3.産後ドゥーラとしての働き方
養成講座の筆記試験・理事面談を合格し、認定を受けたら、個人事業主として活動することができます。
個人事業主であるため、活動範囲や活動時間、料金設定など自分で決めることができます。
フルタイムで働く他、副業として土日のみ働いたり、家庭の事情で午前のみ、あるいは午後のみ働くというような働き方もできます。
無理なく、自分が働きたい形で働けることが、産後ドゥーラとして働く最大のメリットではないでしょうか。
また、2023年現在(社)ドゥーラ協会が認定する産後ドゥーラは約900人いますが、全国の認定ドゥーラたちがつながれるネットワークがあり、互いに協力し合える体制が整えられています。
病気や怪我、家庭の事情などの理由により、受諾した依頼に突然訪問できなくなったような場合には、代理で他の産後ドゥーラが訪問するなど仲間同士で助け合っています。
その一方で、個人事業主として働く以上、自分の仕事にすべて責任を負う覚悟が必要でしょう。
大切な赤ちゃんのお世話をするということは、赤ちゃんの命に責任を持つということです。
また、心身ともにセンシティブな時期である妊産婦の方々の話を共感的に聴き、受容するコミュニケーションスキルも必要になります。
母親が育児に自信を持ち、自分らしく子どもと向き合い、産後の生活が軌道に乗るようサポートすることが、私たちドゥーラに求められています。
そのためには『自分が何をやってあげたいか』ではなく『目の前のママが何を求めているのか』を適切に把握し、柔軟に対応する姿勢が重要になっていきます。
サポートを必要とする日本全国の妊産婦の方々が希望するサポートを受けられる世の中になることが私の夢です。
赤ちゃんが健やかに育ち、すべての母親が幸せでいられるよう願い、本気で産後ドゥーラとして活動したいと思っていただける方々が増えることを願っています。
参考・引用文献
(社)ドゥーラ協会ホームページ https://www.doulajapan.com/