大人も子どもも生活のリズムを整えて、体と心を健康に!

バンデミックの影響で、仕事環境も生活環境も大きく変化せざるおえない時間が続いています。環境が変わる事は、子どもも大人も関係なく、誰でもストレスを多かれ少なかれ感じるものです。
今の生活の心配もありますが、「いつまで続くのだろう…」という漠然とした不安や、バンデミックが落ち着いてからの生活にも心配を抱えている人は、多くいるのではないでしょうか。「久しぶりの職場…」「勉強についていけるかな」「何を話そうかな」など、人それぞれ考える事があるかと思います。
今回は、“生活のリズムを整える事”を取り上げたいと思います。

目次

1:生活のリズムを整えよう
2:早寝早起き
3:大人と子どもが一緒に挑戦!

1:生活のリズムを整えよう

哺乳類、昆虫、鳥類など多くの動物が、昼行性(ちゅうこうせい)の動物です。

人間も昼行性の動物の分類に入ります。昼行性の動物は、日中に本領発揮するように出来ています。
私達が体の中に持っている体内時計を「サーカディアンリズム」と言います。

ここでQuestionです!
人の体内時計は、一日何時間で出来ているでしょうか?

正解は…サーカディアンリズムは、一日25時間に設定されています。ここで「一日は24時間なのに、体内時計は25時間?ズレが生じない?」というような疑問が生まれます。
サーカディアンリズムは、眠りと目覚めのリズムを司っています。その他に、体温リズム、ホルモンの分泌リズム、血圧等を整える役割があります。そのため、サーカディアンリズムを25時間から24時間に整える事は重要になります。
サーカディアンリズムは、光の影響を受けると言われています。
朝、日光を浴びる事でサーカディアンリズムはリセットされます。睡眠ホルモンと言われる“メラトニン”をオフにし、活動に必要なホルモン“セロトニン”をオンにし、活動モードへと切り替えます。
25時間に設定してある体内時計は、きちんと朝、日差しを浴びる事で時間のズレを減らすことができます。

ここでQuestionです!
サーカディアンリズムが乱れると、どのような問題が生まれるでしょうか?

正解は…体と心のバランスが悪くなります。

例えば…
・「力が出ない」「眠くなってしまう」…“エネルギー不足”
・「すぐに疲れる」「今日はやる気が出ない」…“疲れ”
・「何をやっても気が散ってしまう」「集中できない」…“集中力の低下”
・「頭が回らない」「考えるのが面倒くさい」…“思考力の低下”
・「なんかイライラする」「すぐキレる」‥‥“慢性的なイライラ”

寝るタイミングがいつもと違う時や、寝坊してしまった時など皆さんも経験ありませんか?サーカディアンリズムを整えることは、“毎日の生活の充実”に繋がります。

2:早寝早起き

ここまでで、サーカディアンリズムについて説明してきました。
サーカディアンリズムの説明でも出てきた、“セロトニン”について少し説明していきたいと思います。

朝の光を浴びる事は、活動を支える“セロトニン”の活動を高めることになります。
セロトニンは、脳内で働く重要な神経伝達物質の1つです。セロトニンを神経伝達物質として用いる神経系のことをセロトニン神経と言います。(セロトニン神経は、セロトニンを運ぶ神経だと思ってください)

多くのセロトニン神経の起点(核)は、“生命を司る場所”(脳幹)に存在しており、そこから脳内の色々な場所に結び付いていきます。
セロトニン神経の重要な役割の1つが、“人間らしさを司る高度な場所”(前頭葉)と結びつく事です。前頭葉は、思考・言語・計画する力など性格や人間らしさをつくり出す重要な場所になります。セロトニン神経と結び付くことで、情動(特に不安や恐怖など)のコントロールが可能になったり、衝動を抑えたりすることができ、“心穏やかに生活できる”ようになります。
セロトニンは、心身の安定に影響を与えるため「幸せホルモン」の1つとも言われています。

セロトニンが不足してしまうと、次のような問題が生まれます。

  • 食の異常(過食・拒食)
  • 呼吸以上(過呼吸など)
  • 睡眠バランスの乱れ
  • めまい・吐き気
  • 頭痛
  • 情緒不安
  • やる気が起きない
  • etc

セロトニンは、ストレスや睡眠不足になると減りやすいと言われています。
大切なことは、「規則正しい生活」をする事です。

では、こんな時!みなさんはどうしますか?

Question☆
○か×どっち?

Q1
「今日から長期連休で子ども家族が来た。次の日は、ゆっくり寝かせてあげよう」
「連休だから、たまには12時まで寝よう」
などいつもとは違う“特別な日”。そんな特別な日は、朝寝坊も体にとってはご褒美!

Q2
「今日は、家族でテーマパークへ行って、帰ってくるのが22時過ぎで遅くなったから、明日はゆっくり寝かせてあげよう。」
「おじいちゃん、おばあちゃんと遊んで遅くまで起きていても仕方ない」
「ゲームに夢中になって2時過ぎてしまった。明日休みだから寝てればいいや」
など、楽しいことがあって寝るのが遅くなっても、寝れば大丈夫。

答えは、Q1もQ2も×です。

“特別な日”は、嬉しい・楽しいなど気持ちがポジティブになるので心にとって特別な時間は“最高のご褒美”になりますが、実は体にとっていつもと違う“特別は、きつい状態”の事が多いです。

子どもの現場にいると、休み明けで本調子でない子どもと出会う事は多くあります。
本調子でない子どもの特徴としては、イライラしている、ボーっとしている、指示が入りにくい(注意散漫)、生活のリズムに乗れないなどが挙げられます。保護者の方に「お休みはどうしていましたか?」とお話を聞くと「外出して帰ってくるのが遅くなった」「お兄ちゃんとずっとゲームをしていた」「大人時間で生活していたので、夜寝るのが遅くなってしまった」などよく聞きます。(連休明けの現場では、よく見られる“現場あるある話”です。)

その時は楽しくて心が満たされていたとしても、次の日から体が疲れてしまったら勿体ないです。ぜひ、次の日の生活のリズムが戻せるような楽しみ方を考えてみてください。
また、「夜遅く寝たから次の日はゆっくり寝ていよう」という考え方は…これも実は間違っています。夜更かしの分の睡眠時間を取り戻したとしても、体内時計はズレたままなので、疲労感は抜けませんし、頭がボーっとした状態、イライラしてしまう状態になりやすいです。
「遅寝遅起き」ではなく、「早寝早起き」の生活のリズムを意識してみてください。
遅寝や遅起きになってしまった時は、まず“早寝”をしてリセット!!!

3:大人と子どもが一緒に挑戦!

生活のリズムを整える事は、子どもだけでなく大人も重要になります。
是非、子どもに「早く寝なさい」と言うのではなく、家族全体で生活のリズムを整えてみてください。例えば、7時に起きて22時には遅くても寝るようにすれば、活動時間は15時間もあります。(通勤時間などが減った場合、十分な活動時間になります。)

自粛している今、SNSなどで「子どもと料理」「子どもと工作」「子どもとキャンプ」など子どもと過ごす家族の時間をよく見かけます。素敵な時間だなと感じ、“今だからできる姿”でもあるように思います。

最後に、「大人と子どもが一緒にやることで生まれる良い事」についてまとめてみました。

一緒にやると…
1:子どもにとってモデルがいることになる!
☆子どもは、大人を見て学んでいます。
2:家族意識が育ち、役割を与えると燃える!
☆簡単な事でも、お手伝いをさせてあげてください。やりがいや達成感が生まれます。
3:会話が増える!
☆お互いに共有できる内容が増えるため、会話が増えます。会話が増える事は、考え方や語彙などを育てるチャンス!
4:愛されていると感じられる!
☆向き合ってもらえる=見てもらえる感覚が生まれ、安心感を手にできます。
5:家族の思い出が増える
☆思い出は、お金で買えるものではありません。何気ない日常は、思い出になります。

今できる事…まずは、家族みんなで朝の光を浴び、生活のリズムを整え、メリハリを生活につけ、今と未来の為に力を蓄えてみませんか?

実は!家で過ごす時間は、子どもにとって学びに溢れています!!

【引用参考文献】
・乳幼児期からの子供の教育支援プロジェクト 東京都生涯学習課
https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/nyuyoji.html

 

・サーカディアンリズムとは?体内時計を整えて、毎日快眠になり方法

サーカディアンリズムとは?体内時計を整えて毎日快眠になる方法

 

・What is Circadian Rhythm? Sleeping Foundation.org
https://www.sleepfoundation.org/articles/what-circadian-rhythm

 

・Sleep Drive and Your Body Clock  Sleeping Foundation.org
https://www.sleepfoundation.org/articles/sleep-drive-and-your-body-clock

 

・「セロトニン」って何ですか? 東京都教育委員会
https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/pdf/know/sozai01.pdf