友達と仲良く遊ぶために!知っておきたい子どもの発達☆

子ども同士の関わりに対し「幼児になれば友達と仲良く遊べるようになる」と、期待を持つ大人は多いと思います。

子どもが4歳くらいになると「相手の気持ちが分からない」「譲ることができず自己主張ばかりする」等、友達との関りについて、保護者や保育者からよく相談をうけます。

今回は、友達と仲良く遊ぶために知っておきたい子どもの発達についてお伝えします。

目次

1.集団意識はいつから?
2.相手の気持ちを考える
3.さいごに

1. 集団意識はいつから?

3歳以降の幼児期になると、子ども達だけでごっこ遊びや様々な遊びが展開できると思われがちですが、実は子ども達だけで遊びを進めていくためにはスキルが必要になります。

集団意識を持って生活するためには段階があります。

まず2歳以降、子どもは“自己中心性”が強くなります。この自己中心性は、“わがまま”“自己中”とは違います。心理学者ピアジェが提唱した幼児期の認知(ものの見え方)のことであり「自分中心に世界を見る」段階のことです。

この時期は、客観的に世界を見ることが難しいため「相手も自分と同じように思っている」「自分が言っていることが正しい(事実と違っていても)」という思い込みが強くなります。

そのため、自分と相手の違いを認めることや、折り合いを付けることがなかなか難しいのが特徴です。

集団意識は、4歳後半頃から少しずつ「友達っていいな」と言う気持ちが育ち、5歳後半頃から「皆でやるって楽しいな」という気持ちが育っていきます。

2.相手の気持ちを考える

集団を意識して生活するためには“相手の気持を考える力”が必要になります。

しかし、自己中心性が強い時期では、相手の気持を考えることが難しいため、集団を意識して生活することは簡単ではありません。

また、相手の気持ちを理解する力は4歳がスタートで、11歳頃で大体完了と言われています。長い時間をかけて習得していくスキルです。

自己中心性は、7〜11歳頃で少しずつ消えていきます。

それまでは、自分の気持ちを受け止めてもらう体験や、自他の違いを教えてもらう体験、対応方法を習得する体験を繰り返しながら生活していきます。

この時に重要なのは“考えさせる問いよりも、まずは受け止め、教えていく”ということです。

最近、子どもの“問題解決の力”や“自主性”を育てるために、子どもに考えさせる大人が増えています。子どもの気持ちや考えに寄り添う姿勢は、信頼関係を育てることや、愛情を感じるために重要になりますが、問いかけばかりでは“正しいことは何か”“どうしたら良いか”を習得する機会が減ってしまいます。問いかける前に、実は“問いかける準備”が子どもの中で必要になります。

子ども同士のトラブルに対し「相手の子はどういう気持ちだと思う?」と一言目に問いかける大人の姿を見かけます。でもこれは、子どもにとってなかなか難しい問いなのです。

対応のポイントは、はじめに「嫌だったね。気持ちわかるよ」と気持ちを“受け止め”、次に「相手の子は痛かったよ」等“相手の気持ち”を伝え、最後に「こういう時は~」というように“どうすれば良いか”を伝え、できたら褒めるという方法が重要になります。

【考える力を身に付けるための POINT】

1 “受け止める” 本人の気持ち(考え)を受け止める
2 “伝える” 相手の気持ち(考え)を伝える
3 “教える” “どうすれば良いか”伝え、できたら褒める

考えさせる問いに答えることは、知識や経験の応用です。頭の中に知識や経験がストックされていないと、難しいことなのです。

そのためにも初めは“受け止める”ことが重要になります。自分の気持ちを受け止めてもらうことは、子どもの中で「わかってくれた」という安心感が生まれます。

安心感が生まれると、心に余裕が生まれ、聞く余裕も生まれるので、知識や経験を習得できます。

 

そしてもう1つ重要なことは“どうすれば良いかを伝え、できたら褒める”ということです。

子どもが行動修正や、少しでもチャレンジした時に「それであっているよ」と認めることが行動の定着に繋がります。

つい「できるのが当たり前」と思ってしまうのですが、ここは褒めてあげてください

特に“自己中心性”が強い時期の子どもにとっては、大人が丁寧にそれぞれの気持ちを受け止め、整理し、どうすれば良いか教えていくことが重要になります。

3.さいごに

友達に興味を持ち、関わりを持つとトラブルも増えるため心配になることも多いと思います。

しかし、周りと関わる経験は、トラブルだけでなく心も体も成長させてくれる重要な機会です。トラブルを避けるために関わらせないのではなく、見守り支える力が大人には必要なのだと思います。

子どもが泣いて帰ってきた時「楽しかった」と満面の笑みを浮かべた時、悩んで帰ってきた時等、子どもは様々な表情で大人のもとに戻ってくると思います。

その時にいつも「おかえり」と迎えられる大人がいれば、子どもは安心して進んでいけるはずです。