こんにちは。対人関係療法を専門にカウンセリングを行っています、島崎です。
辛い時、投げ出したい時「もう逃げたい」と思うことありませんか?
逃げることは「根性がない」「心が弱い」と言われることがあります。しかし、本当に辛い時、選択肢の1つに「逃げる」があってもいいのではないかと思い、このコラムを書きました。
このコラムを読んで、「自分を大切にする本当の意味」を考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。
「逃げる」と一言で言っても、逃げ方は人それぞれです。
例えば「学校に登校しない」「仕事を辞める」という形から「人との約束を断る」「会話の中で無言になる」「嫌いな人に会わないように避ける」などの形があります。
このように「逃げる」形は人それぞれですが、大なり小なり、誰もが逃げた経験があると思います。
「自分を大切にする」とは「逃げる」「逃げない」ではなく、今の自分にとって精一杯の選択ができたかどうかです。
どのように、自分の心を受け入れるか考えてみましょう。
1.「逃げる」に込められた役割
2.「危険」の正体を探る
3.自分の選択を信じる
1.「逃げる」に込められた役割
私たちが「逃げたい」と思う時はどのような時でしょうか?
人は、心地の良い状況で「逃げたい」と思うことは少ないですよね。
私たちが「逃げたい」と思う時は、自分の身に「危険」を感じていることが多いと思います。
「危険」と言うと「私は1つ上手くいかなくなると逃げたくなる。それは、危険ではない」と言う人がいるかもしれません。しかし、「上手くいかない」ことによって、自分自身に幻滅したり、他者を失望させてしまうのではないかと怖れたりすることは、自分のコントロールができない「危険な状況」ですよね。
そのような視点で考えてみると「危険」を感じた時「逃げたい」と思うことは当然の感情なのです。
そもそも「逃げる」ことは悪いことなのでしょうか?
生き物が自分の身を守るために身につけている3つの反応があります。
1つ目は「固まる」
2つ目は「逃げる」
3つ目は「戦う」
実は「逃げる」ことは、私たちに備わった生きるための1つの選択肢なのです。
「逃げたい」と思った時に考えなければいけないのは「自分は弱い」と自分を責めることではなく「今『逃げたい』と思うほど自分が危険を感じている」という視点です。
そのように考えられるようになると、「逃げる」という選択も必要な選択肢の1つだと感じられると思います。
2.「危険」の正体を探る
続いて必要な視点は、あなたにとって、何がそんなに「危険」に感じるのか知っておくことです。
人は「なんとなく危険を感じて逃げる」状況が続くと、自分が何から逃げているのか、どのような状況であれば逃げなくて済むのか分からなくなります。
「逃げる」選択をすることと、どこに向かっているのか分からず「ただ逃げる」ことは意味が違います。
自分を大切にするためには、自分がどのような場所や人に危険を感じるか把握しておくことが大切です。
安全なのか危険なのかを見分けることができれば、自分の選択に自信をもつことができます。
では、どのようにして「安全」か「危険」かを見極めればよいでしょうか?
答えは、よく観察することです。
人によって危険の感じ方は違うので、自分にとっての「危険」のサインを見つけましょう。
例えば「初めて行く場所を危険に感じる」「人が多いと危険を感じる」「締め切りがあると危険を感じる」「威圧的な人に危険を感じる」「間違えることに危険を感じる」など
自分にとって「危険」が分かれば、どのように回避していくかも工夫できます。
3.自分の選択を信じる
人は逃げたくなるほど追い詰められたとき、状況に呑まれて、自分がどうしたいのかという視点が抜け落ちやすくなります。
どんな時も選択するポイントはシンプルです。
「自分を大切にできているか?」
この視点で考えられるようになれば「逃げる」選択も自分のために選べるようになるでしょう。
生きている中で「逃げたい」と思う瞬間は何度もあると思います。
その時に「逃げたい」と思う気持ちを否定するのではなく、
危険を感じて困っている中で、自分を守る選択ができることを祈って。