心の取扱説明書

心はどこにあるでしょうか。

哲学者アリストテレスは、「心は心臓にある」と考えました。

緊張をしたり、好きな人を見たりすると、胸がドキドキすることがありますね。

心の場所を感じられる瞬間ともいえるかもしれません。

また心臓が止まってしまえば、私たちは何も感じることが出来なくなるわけで、そういった意味では、心臓にあるという受け止め方は正しいと思います。

その一方で、「心は脳にある」と感じることもあるでしょう。

たしかに、思考や感情を司る脳で、私たちはさまざまなことを自分の中で感じています。

神経科学の視点で考える時、「心は脳の内的な現象である」といえるでしょう。

では、何かを感じることが「心」なのでしょうか。

精神分析の創始者であるフロイトは、心を探究する中で、自分で意識できない「無意識」という領域を見出しました。

「無意識」は、自分ではコントロールできないが確かにそこに存在するものであると。

こうなると、「心っていったい何ものなのか?」という、答えのないループにはまっていくわけですが、ひとまずこの答えは置いておくとして、そんな目に見えない「心」をどのように扱うかについて、お話をしようと思います。

目次

1. 心と向き合う
2. 心を解放する
3. 心を満たす
4. 自分を大切にするということ

1.心と向き合う

自分の心が揺れ動いたり、大きく揺さぶられた時、まず最初にすべきこと。

それは、その感情を無視せずに、しっかりと向き合うことです。

心に丁寧に向き合うことで、自分の感情を整理することができます。

怒りや嘆きの感情には、その土台となる感情が必ずあります。

悲しくて怒ったり、心配で怒ったり、寂しくて怒ったり、というように。

まずは、その土台にある自分の本心に目を向けてみましょう。

同じ出来事に対しても、心に余裕があるときは笑って許せたりすることもあります。

どんな状況の時に自分の感情が溢れ出したかについても、整理してみましょう。

状況を整理することで、自分の認知の癖にも気づけるかもしれません。

また、感情が溢れている時には気付けないこともたくさんあります。

気持ちが落ち着いた頃、ノートなどに自分の素直な思いを書き出すのもよいでしょう。

心の叫びをなかったことにしないこと。

自分を認めるためにも、とても大切なことです。

2.心を解放する

喜怒哀楽の感情が溢れてくることは、実はとても健全なことです。

心が弱くなったり、心身が衰弱すると、感情鈍麻(感情の平板化ともいい、喜怒哀楽の表現が乏しくなったり、意欲が低下すること)がみられます。

感情を自由に表現できることは、とても健康的で、幸せなことなのです。

楽しかったこと、嬉しかったこと

寂しさや悲しさ、不安や怒り

その感情を噛み締めじっくりと味わうことは、「人間」だからこそ出来る素晴らしい特権です。

辛い時は、自分で自分を抱きしめたり、人に話を聞いてもらったり、ひとりの時間を大切にするなど、自分に合ったやり方で、自分自身を癒しながら、心を解放しましょう。

3.心を満たす

自分の心を満たすことが出来るのは、自分自身だけです。

やりたくないことはやらない。

やりたいことをやる。

というように、自分の欲求を見つけてみましょう。

もちろん、人を傷つけることや他者に依存することは「他力本願」になりますから、あくまでも「自己完結」出来ることを見つけましょう

例えば、

美味しいものを食べる

好きな映画を見る

ちょっと高めのスイーツをご褒美に購入する

お気に入りの入浴剤を入れてお風呂に入る

買い物に行く など

ただし、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

大切なことは、心が元気になるための満たし方を意識すること

あとから後悔することになると、逆効果になってしまいます。

ちょうどよいバランスを見極めながら、自分自身の心を満たしてあげましょう。

4.自分を大切にするということ

記憶と感情は密接に関わっています。

感情的な出来事は記憶に残りやすく、嬉しい出来事よりも、悲しい出来事の方が記憶に残るともいわれています。

悲しい気持ちを心の奥底にしまったつもりでいても、その記憶がきれいさっぱり消えることにはならないのです。

だからこそ、自分の心に浮かんだ感情と向き合い自分自身を癒すことは、前向きに進む原動力になるでしょう。

アドラー心理学の創始者であるアルフレッド・アドラーは、「人間は自分自身の人生を描く画家である」という言葉を残しました。

自分の心を丁寧に扱いながら、自分自身の人生を豊かにしていきたいものですね。